(長友啓典/著, 野地秩嘉/著)
「成功する名刺デザイン」というタイトルとあらば、名刺屋をやっている私としては、読んでおくべきだろう、そう思って手にとった本です。
読みすすめると、成功するのは名刺を使った方のことだとわかりますが。
この本の著者、長友啓典さんは、クマさんこと篠原勝之さんや宮沢りえさんの名刺をデザインした方なのですが、その名刺デザインと、名刺を作ったときの裏話が載っていて興味深かったです。
篠原勝之さんの名刺には、篠原さんが考えたキャッチコピーがつけられていて、「鉄のクマ、動く」などと名刺に印刷されています。
刷数を入れた篠原さんの名刺も面白かったです。
刷数とは、よく本の1番後ろに載っている「2000年1月1日 第1刷、2009年1月1日 第5刷」というようなもので、本の場合だとここを見れば、何回印刷したかわかり、売れているか売れていないか等もわかるのですが、名刺の場合は、「名刺をたくさん配ったよ。」「たくさんの方に会ったよ。」というメッセージになるのかもしれません。
その他、長友さんが手がけた名刺のデザインも数多く載っていて、その文字組みのきれいさ、読みやすさは素晴らしいと思いました。
その本の中には、名刺に罫線なんか入れちゃいけないというようなことが書いてあるのですが、私の名刺屋のデザインの中には、ゴロゴロあります、罫線入りの名刺…(^^;)
名刺に限らず、巨匠になればなるほど、デザインの要素はシンプルになるようです。
長友さんがデザインした名刺は、文字だけでレイアウトされたものも、すごく美しくて、じっとながめたくなるのですよ。
名刺は用紙サイズは小さいのに、漢字、ひらがな、カタカナ、電話番号などの数字、メールアドレスのアルファベット等、文字の種類が多いのです。
そのため、ただ文字を並べただけでは、数字が小さく見えたり、揃えたつもりがガタガタに見えたりするのです。
長友さんは、そういった文字組みの問題をどうしているのか、テクニックのようなものを知りたかったですが、それは書かれていませんでした。
イラストレーター黒田征太郎さんのイラストを使った名刺もあり、これも素敵でした。
寝っころがって、ちょいちょいっと描いたような、肩の力が抜けたカエルイラストで、かわいいのです。
それも、甘いかわいさではなくて独特のかわいさ。
そのカエルイラストの名刺を人からもらったら、きっとそのカエルが印象に残って頭から離れないと思います。
名刺は、初めて会った方の印象に残ることが大事だと思うので、名刺としては成功ですよね。
長友啓典さんの名刺は、私の名刺屋「プチ名刺」のうん十倍の値段だそうですが、サイズは私と同じ91×55ミリ。
私も、もっと精進せねば!と思わせてくれた本でした。
名刺のデザイン例が多く、文字量は少ないので、マンガ本のように読めます。
内容も堅苦しくないので、デザイナーの方が休憩中に
「こういうアイデアもあるのか〜。」
と、軽〜く読むのに最適です。

